④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
もう本能が、止められない。

 「腕、下ろして?」
 庇った腕を力強く下におろす。
 おそるおそる、乳房に触れると、彼女がピクっと反応した。

「うぁっ…」

 壊れそうなほど柔らかい。

__そうなんだ。武骨で図体のデカイ俺なんかが触ると、女の子は壊れてしまうんじゃないかって、ずっとずっと思ってた___

 と。
 
「う…うう…」
 彼女が、小さく啼いて。

 小さな雫が、ポタリと落ちた。

 
 驚いて熊野は手を退ける。

「ど、どうしたの?」

 痛かったのか?
 でもまだ、あんまり何もしてない筈だが…

 戸惑う熊野の目の前で、彼女はとうとう本格的に涙を溢しはじめた。

「何で?…どうして泣くの?」

 身体中を震わせながら、胸の真中に両手を組んで。やはり怖がってるのだろうか。

「うぇ…あ…分っ…かりません。
 けどきっと、それは熊野さんが優しいから…だと思います。
 熊野さんなら…ユニCロのTブラだって、グNゼのスポーツブラだって、きっと、許してくれるから」

 は?

「君は……一体何を言ってるの?」 
 
 燈子はフルフルと首を振った。

「自分でも…よく分からない。
 だけどね…この間からこの辺りが、キューって…痛いんです」

 彼女は、泣き顔のまま熊野を見、胸に当てた両手をぐっと押さえた。

  熊野は、呆然とそれを見ていた。
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