④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
 ちっっ、
 くしょおおおおっ!!

 真夜中のオフィス街には、疲れきって帰路につくサラリーマンがちらほらいるだけ。
 凄まじい形相で、すれ違う人にビビられながら熊野はそこをひた走った。

__この時間、奴はまだいるだろうか。
 いや、いるだろ…ってか、いなきゃ殺す!

 やっと分かった、本当は自分が何を焦っていたのか。
 最初っから知っていたからなんだ。君が大神ばかりに気を取られていたことを。

 トーコちゃんのことは本当に好きだったし、その気持ちは嘘じゃない。 
 だけど、俺の中でもっと大きかった気持ちは……
 つまるところ。
 俺はただ、ヤツに負けたくなかっただけなんだ。

 なのにヒドイ言い方してゴメン。けれどやっと気づけたよ。

 森のクマさんの役割(ポジション)は、大好きな女の子の無くした物を、探してきてやることなんだ_____

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