④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
第6話 大神秋人の専決事項
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本社ビルの前に立って見上げると、もう夜も遅いのに、所々に灯りが着いている窓がある。
3階端の業務課オフィス。
そこに明かりがあるのを確認すると、熊野は “ん” と頷いて、決然とそこに乗り込んだ。
部屋に入ると、やはり大神がいた。
最低限の蛍光灯を着けて一人きり、モニターの青白い光に照らされて、カタカタとキーボードを打っている。
__夜中まで仕事とは、ご苦労な事だ__
熊野は厳しい顔つきで、ツカツカと課長デスクに歩み寄った。
「よう、随分張り切ってるじゃないか」
「? おう、どうした。忘れ物か」
熊野に気づいた大神は、少しだけ顔を上げると、またパソコンに視線を戻す。
熊野は、おもむろに話を切り出した。
「…今日な、トーコちゃんと、ホテル行った」
「へえ……そりゃあ、おメデタイ。
ついにシロート童貞、卒業だな」
大神は抑揚のない声で返した。
「違うわっ!
なあ大神。
あの子な、泣くんだよ。…だから……何もできなかったんだ」
ギュッと拳を握り締めて俯いた熊野に、大神は手をようやく止めて、考えるように腕組みをした。
「そうか。
やっぱり…そうじゃないかと思ってたんだ」
「てことは、オマエも…
気づいていたのか!?」
「ああ」
大神は少し寂しそうに笑うと、熊野の腕をポンと叩いた。
本社ビルの前に立って見上げると、もう夜も遅いのに、所々に灯りが着いている窓がある。
3階端の業務課オフィス。
そこに明かりがあるのを確認すると、熊野は “ん” と頷いて、決然とそこに乗り込んだ。
部屋に入ると、やはり大神がいた。
最低限の蛍光灯を着けて一人きり、モニターの青白い光に照らされて、カタカタとキーボードを打っている。
__夜中まで仕事とは、ご苦労な事だ__
熊野は厳しい顔つきで、ツカツカと課長デスクに歩み寄った。
「よう、随分張り切ってるじゃないか」
「? おう、どうした。忘れ物か」
熊野に気づいた大神は、少しだけ顔を上げると、またパソコンに視線を戻す。
熊野は、おもむろに話を切り出した。
「…今日な、トーコちゃんと、ホテル行った」
「へえ……そりゃあ、おメデタイ。
ついにシロート童貞、卒業だな」
大神は抑揚のない声で返した。
「違うわっ!
なあ大神。
あの子な、泣くんだよ。…だから……何もできなかったんだ」
ギュッと拳を握り締めて俯いた熊野に、大神は手をようやく止めて、考えるように腕組みをした。
「そうか。
やっぱり…そうじゃないかと思ってたんだ」
「てことは、オマエも…
気づいていたのか!?」
「ああ」
大神は少し寂しそうに笑うと、熊野の腕をポンと叩いた。