④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
 大神は、鋭い目付きで熊野を睨んだ。

「だから何なんだ?
 仮に赤野が…そうだったとして…
 もう決まった事だし。
 そもそもお前には関係がない。プライバシーの侵害だね」

「大神っ!」

 人を食ったような大神の言い様に、熊野はとうとうキレた。
 再び画面に向いた彼の椅子を回すと、彼の襟元に掴みかかる。

「な、何だよ、暴力か?訴えるぞてめぇ… 
や、ダメだってマジで弱いから…ぼ、暴力反対!」

 逃げ腰の大神に、体格的にも断然有利な熊野は、さらに凄んで見せた。

「ウルサイ、黙って聞け。
 お前にとって、社長が絶対なのはよ~く知ってるよ。何より畏れて、憧れてだっているんだろうさ」

「は…離せよ」

「でもな?お前、考えてもみろよ。女の払い下げとか、社長(アノヒト)が、そんな屈辱的な仕打ちを、本当にすると思うのか?
 オマエの忠誠心を試したように見えるけど…本当はもっと違うことを試そうとしたんじゃないのか」
 
「離せったら!」


< 45 / 60 >

この作品をシェア

pagetop