④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
彼は、その指に軽く口づけすると、燈子の目を見てうん、と頷く。
驚きすぎて声も出ない燈子が、なされるがままにそれを見ていると、彼はそのまま、自分の小指を燈子の小指に絡めた。
「絶対、な?」
ユビキリで念押しする彼に、燈子はやっとのことで返事した。
「はい」
指を切ると、彼はやっと燈子から離れた。
「始業5分前だ。
俺は課に戻るけど……一緒に行くか?」
燈子はぎこちなく首を振った。
「そ、その…もう少し、余韻に浸って…いたいデス…」
大神は嬉しそうに微笑んだ。
「そうか、じゃあ先に戻る。…遅れるなよ」
大神が去った屋上で、燈子は地にへたりこんだ。
何だか、まだ信じられない。
私は実は夢を見ていて、こないだみたいに目が覚めたらデスクに突っ伏していて、大神課長に叩かれるんじゃないだろうか。
だけど。
今さっき、何とか嵌まった指輪。
その締まりが、実感としてそこにある。
その日初めて、
始業開始の10分遅れで席に着いた燈子を、大神課長は叱らなかった。
さらに後日、
出世コースまっしぐら、最年少の業務課長、○かれたい男(ヒト)No.3、大神秋人の
プロポーズは、愛煙家達の手により、全本支社に伝わった____
驚きすぎて声も出ない燈子が、なされるがままにそれを見ていると、彼はそのまま、自分の小指を燈子の小指に絡めた。
「絶対、な?」
ユビキリで念押しする彼に、燈子はやっとのことで返事した。
「はい」
指を切ると、彼はやっと燈子から離れた。
「始業5分前だ。
俺は課に戻るけど……一緒に行くか?」
燈子はぎこちなく首を振った。
「そ、その…もう少し、余韻に浸って…いたいデス…」
大神は嬉しそうに微笑んだ。
「そうか、じゃあ先に戻る。…遅れるなよ」
大神が去った屋上で、燈子は地にへたりこんだ。
何だか、まだ信じられない。
私は実は夢を見ていて、こないだみたいに目が覚めたらデスクに突っ伏していて、大神課長に叩かれるんじゃないだろうか。
だけど。
今さっき、何とか嵌まった指輪。
その締まりが、実感としてそこにある。
その日初めて、
始業開始の10分遅れで席に着いた燈子を、大神課長は叱らなかった。
さらに後日、
出世コースまっしぐら、最年少の業務課長、○かれたい男(ヒト)No.3、大神秋人の
プロポーズは、愛煙家達の手により、全本支社に伝わった____