高校デビュー




次の日も私たちは朝から図書館。



「雄也、本お願い。」



「はいはい。」



すっごくめんどくさそうにする返事は

本音なのか照れ隠しなのか……


うーん…。



「はい。さっさと読め。」


「はーい。」


…相変わらず冷たいです。


でも彼氏といるときも本が読める幸せ。

私にとってあまり削りたくない時間だから。



「莉々愛、時間。」



「え、もう?」


仕方なく本を片付けた。


私たちはいつも通り一緒に教室へ戻る。


いつもと違うのはその手が繋がれていること。


そんな些細なことだけど

彼女っぽくってとっても嬉しいのだ。



「放課後迎え来るから。

勝手に行くなよ?」



「うん、わかった。」


そう言って教室の前で別れた。


…………ふふ、彼女っぽい。


彼女なんだけどさ。



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