高校デビュー



それから一ノ瀬くんは私に優しくなった。

今まで鋭く睨まれることが多かったからね…。



そんな日々を過ごしてもう5月もなかば。


「莉々愛ってさ、毎日図書館行ってんの?」


屋上で過ごしやすくなってきたある日の昼休み

今日も5人でお昼ご飯です。


そんなとき、蒼太くんが聞いてきた。


「うん。そうだよ。」


「借りればいいじゃん。」


「んー、でも私あの空間好きなの。

本の匂いがしてさ、静かで

あの雰囲気がすっごい好き。

だからなるべくあそこで読みたいの。」



「ふーん。

いつも雄也もいんの?」



「だったらなんだよ。」



「別に。

二人きりなのかなーと思っただけ。」



「基本的に二人だけど

でも他の人がいることもあるよ。

この前は美咲と雅人くんもいたしね。」



「えー!俺も誘えよ!」



「蒼太くん本読まないでしょ。」



「読まねーけどさ!」



「なら来てもつまらないよ?

みんな集中してて何も話さないし。」



「いや、でも誘うくらい…」



「蒼太うるせーよ。

帰って漫画でも読んでろよ。」



「雅人!少しは俺も大事にしろ!」



……………賑やかですね。

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