高校デビュー
3
それから一ノ瀬くんは私に優しくなった。
今まで鋭く睨まれることが多かったからね…。
そんな日々を過ごしてもう5月もなかば。
「莉々愛ってさ、毎日図書館行ってんの?」
屋上で過ごしやすくなってきたある日の昼休み
今日も5人でお昼ご飯です。
そんなとき、蒼太くんが聞いてきた。
「うん。そうだよ。」
「借りればいいじゃん。」
「んー、でも私あの空間好きなの。
本の匂いがしてさ、静かで
あの雰囲気がすっごい好き。
だからなるべくあそこで読みたいの。」
「ふーん。
いつも雄也もいんの?」
「だったらなんだよ。」
「別に。
二人きりなのかなーと思っただけ。」
「基本的に二人だけど
でも他の人がいることもあるよ。
この前は美咲と雅人くんもいたしね。」
「えー!俺も誘えよ!」
「蒼太くん本読まないでしょ。」
「読まねーけどさ!」
「なら来てもつまらないよ?
みんな集中してて何も話さないし。」
「いや、でも誘うくらい…」
「蒼太うるせーよ。
帰って漫画でも読んでろよ。」
「雅人!少しは俺も大事にしろ!」
……………賑やかですね。