高校デビュー
「そういえば一ノ瀬くんは好きな子いるの?」
「俺のことはいいよ。」
「あ、いるんだ。」
「……なんでそうなんだよ。」
「いないならいないっていうもん。」
「うるせーよ。
黙って本読め。」
「いいじゃん、教えてくれても。」
私がそう言っても一ノ瀬くんは
全く返事を返してくれなくなった。
いいじゃん。教えてくれても。
次、私に話しかけてくれたのは
帰るときだった。
「そろそろ帰るぞ。」
「はーい。」
私は本をもとに戻して
一ノ瀬くんのところへ向かった。