(完)年下男子に惚れました
靴を履き軽くつま先を鳴らしているその姿を私は貼り付けたような笑顔で見つめる。


なぜに先輩が後輩の見送りなんぞしなくてはならないのだ。


そんな不満をなんとか抑えてわざとらしく手を振る。


その姿が滑稽だったのか、悠雅は別れ際ニヤニヤと笑いながら言った。



「それじゃ、けん玉頑張ってくださいね。」



そう言って振り返ることなく去っていくヤツ。


「あは。先輩ごめんなさい。」


聞こえるはずもないがしっかり謝って私は道場から走り出てヤツを追った。





< 16 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop