(完)年下男子に惚れました
何度も入っている部屋だから、気兼ねすることもなく、ベッドに寝転がった。



「何で、その人と付き合ったの?」



また次の質問を問いかけるとお兄ちゃんは照れたように笑いながら話し始めた。



「あいつも俺と一緒でバレーの特待入学でさ、そんな共通点もあって初めはただの気の合うクラスメイトだったんだよ。




目線を上に向けて、少しずつ思い出を探りだすようにして穏やかに話すお兄ちゃん。



「だけどさ、入学して数か月後ぐらいに大怪我してもう二度とバレーができなくなったんだよ。
そいつさ、みんなの前では余裕な顔して笑ってんだよ。
だけど1人でいつも泣いてんの。
苦しいくせに1人で溜め込んで。
馬鹿みてえだなって思ってたけど、そんなあいつを支えてやりたいなって思ったんだよ。
それで、告白した。」



「へー。その人今はどうしてるの?」



「マネージャーやってるよ。」



そう話すお兄ちゃんの表情からその人がすごく大好きなことがわかる。



10年以上、お兄ちゃんと兄妹やってきたけど、こんな表情見たことないもん。



ほんの少しだけ、悲しい



ような気がするだけだと思いたい。



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