(完)年下男子に惚れました
泣き目のまま、そう告げて唇をゴシゴシと擦りながら、武道場を後にした。



鍵とかもうそんなの気にしてられなくて、そのまま帰り道を走る。



結局、あいつもそういう男なのか。



悔しさとか悲しさとか、いろんな感情が混ざり合って、涙が次から次へと溢れ出てくる。



ずっと全力で走っていると、急につまづいて、転けてしまう。



地面に座り込んだまま、ボーッと一点を見つめる。



『先輩!』



どこからかその声が聞こえてくる。



だけど現実ではない。



「うう〜っ…」



悔しいし悲しい、だけど、ほんの少し夢見てた、悠雅と唇が触れ合ったってそれに喜んでいる私がいる。



なんで、こんなにも好きになってしまったんだろう。



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