(完)年下男子に惚れました
振り向いて、夏実の手からキーホルダーを受け取りお礼を言う。



「あ…。」



かすれた声が小さく漏れる。



受け取ったのはキモウマのキーホルダー。



あの日、悠雅がくれたやつ。



すごく嬉しくて、筆箱に付けたんだ。



ポロっと涙がこぼれ落ちる。




嫌いになったはずだった。
そう思い込もうって思って。
思い込んだはずだった。



もう私の中であいつは後輩以上でも以下でもない。



なのに…




「なのに…っ、消えないの」



気にしてないふりしても、視線は無意識にあいつを追っていて。



他の女の子と話してるのを見たら、涙が出そうなくらい苦しくて。



いつでも、隣にいたくて。



あいつの視線の先にずっといたくて。



前みたいにバカな喧嘩して、お腹を抱えて笑いあいたくて。




あいつよりいい男の子なんて、探したら数え切れないくらいいるはずなのに、



私にはあいつしか見えなくて。




嫌いになれるわけないじゃない。




全身があんたの名前を呼んでるのに。



私は結局、バカみたいにあんたが好きで好きで好きで、もうどうしようもないくらい大好きなの。






好きって言ってくれなくたっていい。


ただ、



「このまま話せなくなるなんてやだよ…っ」











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