(完)年下男子に惚れました
防具を運んで、何気なく竹刀を弄んでいると、誰かの足音が聞こえて顔を上げた。



悠雅だ。



「コンニチワ。」


なぜか反射的にそんな言葉が出てきた。


「はあ?先輩とうとう頭がおかしくなりましたか?なんで俺に挨拶してんすか。」


見下すようにしてニヤニヤと笑う悠雅。



「うっ、うるさいなあ。間違えただけだし。」



そう言い返すと、また悠雅が言い返してくる。



しばらく軽口合戦を続けた後、ぽつりと呟いた。



「彼女できたらしーじゃん。」


その言葉に悠雅は驚いたように目を見開いた。


何も言ってこない悠雅を不審に思って軽く手をひらひらと振る。


「誰から聞いたんすか。」



「別に誰でもいいでしょ。よかったね。これでお前もリア充の仲間入りじゃないか。」


ヘラヘラと笑いながらつらつらと言葉を並べる。





何で。


何で。



何で私、こんなに、言いたくもない言葉スラスラと口から出してんの。


何で私、こんなに胸が苦しいの。





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