(完)年下男子に惚れました
しばらくして、川口くんが口を開いた。


「理由は?」


「…私、好きって気持ちちゃんとわかってなくて…」


うまく言葉が続かず、途切れた私の言葉を引き継いでくれたのは川口くんだった。


「俺のことは初めから好きじゃなかった。」


返事が出来ず俯いていると、川口くんは眉毛を下げて笑った。


「おかしいと思ってたんだよ。一回も喋ったことがなかった如月さんが俺のことを好きなんて。そういうことだったのか。」


「ごめんなさい…。」


謝ることしかできない自分が申し訳ない。



「いいんだよ。うん。分かった。別れよう。でも、別れてからも友達でいてくれる?」


だけど、川口くんはこんな最低な私に優しい言葉をかけてくれる。


どうして、こんな人を傷つけてしまうんだろう。


「もちろんだよ!」


涙をこらえて力強く頷く。



< 71 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop