(完)年下男子に惚れました
相手の出方を待っていると、相手が面を打ってきた。


ここだ‼︎


すかさず、あいた手元に小さくコテを打ち込んだ。



胸を張って構えなおした瞬間、主審の「コテあり」という冷静な声が聞こえた。






「はーあ…。」


面を取りタオルで汗を拭き取った。


中体連は一番きつい。


暑さ的に。



「はい。センパイ。」



どこからか声がして声を上げると私の水筒をご丁寧に差し出す悠雅がいた。



「悠雅のクセに気がきくじゃん。」


驚きながらもニヤッと笑って受け取り蓋を開けてお茶を喉に流し込んだ。


「一回戦突破、オメデトウゴザイマス。」


「それはどうもアリガトウゴザイマス。」



悠雅が片言だからなぜか私も片言になる。



「うわ、今年も坂井中強いなあ…。」


目の前で県でトップの強豪校の生徒が30秒もせず二本勝ちし話を変えた。


相手は普通に強かった。


坂井中の人が強すぎるだけだ。



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