世界から君が消えた
好きだからココにいるよ。
倒れた川村さんを抱え、自室のベッドへと寝かした。
頬に残る涙の跡を拭う。
本当は直ぐにでも病院に連れて行ったらいんだろうけど、俺はそうしなかった。
血は止まってるみたいだし、暫く意識は戻らないだろう。
こう見えても両親が医者だったし、将来は医者になるため勉強してるから、それなりの医術は身につけている。
それより速く学校行かねーとっ!
なんとか時間ギリギリに着き、遅刻は免れた。
やばい、久々にこんな速く走ったかも。
「おつかれー。」
息切れしながら、席に着くと隣の席の森田 優奈(モリタ ユナ)が笑いながら話しかけてきた。
優奈は少し茶色い綺麗な髪を最近切ったらしく、胸の下ぐらいまであったのに今は鎖骨ぐらいまでになっている。
色白で、目は綺麗な二重。
背が高く165cmもあり、モデルのようなルックスから学校内ではもちろん、他校からもかなり人気があるらしく、一ヶ月に5人ぐらいから告られてるらしい。
モデルにもスカウトされたとか。
優奈と俺はいわゆる幼馴染みという関係で、隣の席とあって羨ましいとよく言われる。
でも、俺にはそういう感情がよく分からなかった。
確かに可愛いとは思うけど、好きかと聞かれるとよく分からない。
「あっちぃー。」
右手で襟元を掴んで、パタパタすると隣から目線を感じた。
「どーかした?」
机に肘をついて、じーっと見てくる優奈。
いきなり右腕を掴まれ
「ばぁーか。」
と真顔で言われた。