一方通行 1
prologue
「はぁっ・・・こっち見て。」









私の上に覆いかぶさってる彼が、色っぽく言うと









そっぽを向いてた私の顔を、無理やり向けさせた。





























いつもの行為









私に愛情はあるけど、彼にはない









私は代わりだから








それを実感したくなくて、他の女を想って抱いてるって分かってるから








彼から目を背ける。





























それでも、代わりでもいいと言ったのは私









そんな形でも、傍にいたかったから




























「凛那。」









なんで私を呼ぶの?








あなたの好きな人は私じゃないでしょ・・・









そんな顔で、そんな声で








呼ばないでよ・・・





























上にいる彼に手を伸ばし、頬に触れると









「私の事・・・好き?」









分かり切ってる答えを聞く。





























何も答えない彼








分かってるよ









「冗談・・・」








ふっと笑うと、また顔をそむけた。





























すると、またも無理やり向けさせられ









「んんっ・・・」









答えられない代わりに、深いキスを浴びせてくる。









ねじ込まれる舌を、必死に受け止める。









同時に、動きだす彼









襲う快感







































間違ってる?









世間から見たらそうかも








好き同士でもない、付き合ってもいない









でも私にとって、この時間が









彼と唯一









繋がっていられる時だから・・・







































分かってたんだ









間違ってるってことくらい









でもそんなの気にならないくらい









私は彼に堕ちていた







































あの時、あんなことを言わなければ









ただの、幼馴染のままでいられたのかもしれない









こうして、苦しんだりせず・・・


















目をつむった拍子に、涙が流れ落ちた。
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