君に遺された恋
着替えを渡すとレグルス様が口を開く。

「ねぇアル?一つお願いしたい事があるんだけど…」

「はい…?」


レグルス様が私に何か頼むなんて、そんな珍しい事じゃない。
毎日身の回りのお世話をしているし、
改めて お願いしたいことがある と言われると身構えてしまう。


「実は…城の外へ抜け出したいんだ。」

「は?!」

「いや、その、なんていうか…
城から出て、自分の目で外の世界を見たいんだ。」

「はぁ…」

分かったような分からないような理由…



「それなら王様に頼まれてはいかがですか?
外の世界にしばらく出ていたいと…」

王子を危険な目に合わせるなんて見過ごせない…

「いや、父様は簡単に許してくれない…」


レグルス様がうつむいて小さな声でつぶやく。
「でも…どうしても出たいんだ…」


今にもつぶれてしまいそうなレグルス様の声…

好きな人の笑顔の為…私には何ができる…?
< 131 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop