君に遺された恋
こんなに毎日そばに居るはずなのに
私…レグルス様の事、ちっとも分からない。

そして私は彼を、彼が愛しい人の所へ抜け出す手伝いをする…?

ふふっ…おかしい。

私…ただの都合の良い使用人じゃない。


ティーカップを手に考えを巡らせているとベルが私を呼ぶ声が聞こえる。

「アルー?掃除終わった?」

「はっ、はーい!今終わってクローゼット整頓してたとこ!」

「で、大丈夫?」

「へ?」

「ほら今朝、もう王子の部屋には入れないとか言ってたじゃん」

「あ、そうそう。2人がイチャイチャしててさ…やなとこ見ちゃったんだぁ。」

「そかそか…」

そう言ってベルが私の頭をポンポンとたたく。

「ねぇ、アル。今はさ、確かに王子はミラの事しか見てないかもしれないけど、
「ただの使用人」をやめるなら今だと思うよ。
このまま2人の恋愛がうまくいっちゃってズルズル結婚になんか持ち込まれたら…」

「ふふっ、ベル気が早いよ。まだレグルス様は16だよ?」

「まぁ、そうか…でも…自分の幸せの事も考えなよ。
遠慮してちゃいつまでも片思いだからね!」

「はいはい、優しいお節介をありがと。」

ベルが部屋を出て行く姿を見送って、私は
いつまでも行動できないでいる自分に向けて、大きなため息をついた。
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