君に遺された恋
私はレグルス様から受け取った部屋の鍵を手に、
レグルス様の部屋に戻った。

ガチャン…

うっかり他の使用人が入らないように内側から鍵をかけ、部屋を見渡す。
胸の高鳴りとは対照的に、やけに静かな部屋がかえって私の心をかき乱す。

レグルス様が城を抜け出すなんて、勿論これが初めて。


さぁ、怪しまれないように「いつもどおり」パパッとお掃除を済ませますか!
そう思った瞬間…

コンコン
「イリスです。レグルス様、お客様がお見えです。」


私はとっさに息を殺す。

しまった…どうしよう…


ガチャガチャ

ドアを開けようとする音が緊張の中に響く。


しばらくしてイリスが諦めて部屋の前から立ち去る音が聞こえる。


お客様なんてアポ無しではあんまり来ないのに、
どうして今日に限って…


よし…先に私が
「レグルス様は体調を崩されているので部屋に近付かないように」と
皆に伝えよう。


そう考えて部屋を出て外から鍵をかける。

しかし、計画は早くも崩れ始める。
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