君に遺された恋
最悪の事態は更に重なる。

「あ、私ちょうど今マスターキーを持ってます。
ジオラス様なら開けてもレグルス様は怒らないのでは?」

イリスがそう言ってジオラスに鍵を渡す。

「そうだな、レグルスのやつ、そんなに体調悪いのか?」


ジオラスが部屋を開ける瞬間がすごく遅く感じる。
やめて…やめて…


ガチャン…

3人の目の前に広がるガランとしたレグルス様の部屋

「レグルス?なんだ居ないのか。」

そう言うジオラスに、間を開けてイリスが問う。

「でも、ならどこに?」


「私、お手洗いを見てきます。」

私はそう言い残し、居るはずもないお手洗いに向かって歩き始め
「レグルス様の捜索」を始めた。


やがて捜索は加熱して、使用人総出で城中を探し
その晩には、城の外での捜索が開始された。


泊まりがけで公務に出た王はまだ何も知らない。
トリア様は真っ青な顔で震え、一刻も早く息子を、
レグルス様を見つけるようにと指示を出された。


王子が逃げたなんて城下の者には言えない。
捜索は極秘で行われた。


レグルス様、ごめんなさい。
たった一日で、城を抜け出したことがバレてしまいました…


でも私は内心、あの女の元から早くレグルス様を引き離せるなら本望だと複雑な喜びもある。

どうか、早く、ミラとふたりで居るところを発見され
二度とあの女と会えないような処罰が下されますように。
< 139 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop