君に遺された恋
次の日、朝から買い出しを終えて帰ってくると、家の前に
ボロボロのパンツと少し汚れたジャケットを着た「あなた」が立っていた。

「うちに何か用ですか?」

バッと振り返ったあなたはすごく嬉しそうな目をしてた。


「え?!レグルス?!どうしてここに?!」

「逃げ出して来たんだ。君と一緒に居たい。」


聞きたいことはたくさんある。
だけど今は、私の部屋に居るあなたを見るだけで
心が飛び跳ねるほど嬉しくて、早く触れたくて…

私は椅子に座った彼に向き合うようにして膝の上に座り優しく抱きしめた。


「ここに来てくれて嬉しい。」


偽りの無い、本心よ。
あなたを独り占めしたい…。

そして、私は考え無しに提案してしまう。

「この街を抜けて丘を越えた所に、昔住んでいた家があるの…
私と一緒にそこで暮らさない?」
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