君に遺された恋
「暮らす?!」

驚くのも無理ない。
今まで使用人に囲まれて、洗濯も料理もしたことの無いレグルスに
「ふたりで暮らそう」なんて無茶すぎるのは分かってる。だけど…


一晩でもいい。
誰にも邪魔されずにあなたと居たい。


レグルスは私をぎゅっと抱きしめ、耳元で甘くささやいた。


「行こう。そこへ。
誰にも邪魔されずに生きてみたい。」



ふふっ、私達同じ事考えてたのね。



早速、私達は荷物をつめて家を出た。
丘のむこうの古い家を目指して…


2時間くらい歩いたかしら、やっと家が見えてきた頃にはレグルスはゼーゼーいって、
正直ちょっとかっこ悪かったわ。王子だものね、家の中だけじゃそんなに運動もしないだろうし。


「レグルスお疲れさま。ここよ」

とドアを開ける

ギィイイ

彼がハッと息をのむ。
そりゃそうか。クモの巣だらけで中はほこりっぽい。
きっとこんなところ初めてなんだろうな…
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