君に遺された恋
全部の部屋を掃除するのは無理。
私達は家の一番奥の部屋だけを居住スペースとして掃除することに決めた。


部屋はひんやりとしていて、不自然な程に静か…


すると急にレグルスが私を後ろから抱きしめる。


「改めて二人きりになれてすごく嬉しい…」

「うん…私も嬉しい。」

私の右肩に甘えるように顔を埋めて首にキスするレグルス。

「最高だよ。この空間を僕たちだけの為に使えるなんて。」

「そうね。それもこれも、あなたが城を抜け出してくれたからよ。」


「「ありがとう」」


2人の言葉が重なって、私達は笑い合った。


この何気ない小さな幸せがずっと続けばいいのに…


「ミラ、僕、思ったんだけど」

「何?」

「この先ミラが魔女になっても、ちゃんと受けとめるよ。」

「へ?」

「君は僕の溢れた「好き」を受けとめてくれるんでしょ?」

「勿論。」

「だから、僕も君がもし魔女になったら、魔女の部分も全部受け止める。」

「うん…」

「君が力にのみ込まれても、僕はずっと君の見方だよ。」

「うん…」

安心したのか静かに涙が溢れる。

あなたの柔らかい唇が、私を受け止めてくれてるみたいで
何度も繰り返し、私のほほや首にキスしてくれるあたたかさを、愛を、
私は全身で感じた。
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