君に遺された恋
日が完全に暮れてしまうまでに、
ある程度の掃除は終わらせようと、
私達はほこりだらけの部屋で奮闘した。

「このベットはまだ使えそうだね。」

「そうね!それからこの机も!」

私達は純粋にワクワクしてた。
要らない物を部屋から出して
使えそうな物を持ってくる。

クモの巣やホコリは撤去して…
お掃除がこんなに楽しかったのは初めて!

少し離れた所に民家があるから、
私達がここに居ることがバレて怪しまれないように
窓にはシーツを張った。


夜の7時にはなんとか作業を終わらせて、
私達はロウソクに火をともし、ベッドに腰掛けた。

電気や水は勿論使えない。

ミネラルウォーターで手を洗い、
持ってきたパンにかぶりつく。

レグルスが揺れるロウソクの火を見つめて口を開く。

「何だか不思議だね。」

「え?」

「他の世界に居るみたいだ。」

「ふふっ、そうね。」

「君は、僕たちが初めて会った日の事を覚えてる?」

「ええ、勿論。」
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