君に遺された恋
先生は城下でも腕の良い医師として知られていて、
この城の者が体調を崩せばいつでも飛んできてくれる。


だけど私はひとりになりたかった。


赤ん坊のレグルスはまだ生死を彷徨ってて会えない。

エルナー様は意識が戻ってない。


人生、どん底。

誰かに会う元気も残ってない。


ふと、窓の外に目をやる。
いつの間にか日が暮れていて、いつの間にか朝が来る。


私のこのどうしようもない気持ちはここに、この部屋に取り残されたまま。
朝が来て、夜が来る。


生きている意味…あるのかな…


ねぇお母さん。お父さん。


もう、私どうしたらいいか分からない。
やり直したい。いちから。全部。
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