君に遺された恋
僕は今まで彼女の手を握った事なんて無かった。
白くて柔らかいミラの手を握った瞬間、時間が止まったような幸福感が僕を包んだ。


「レグルス…?」

「はっ!ごめんつい…」

パッと手を放して我に返る。


するとミラが僕の顔を覗き込んだ。


「レグルス今日おかしいよ?どうかした?」



おかしくなんか無い。
ただ、もう君への気持ちを抑えられなくなってきてるんだ…



そんな事言えるはずも無く黙っていると、思っても無い事をミラが口にした。


「私が魔女の娘だから…?」

「え?」

「魔女の娘の手を握るのは怖い?」

「違う!違うんだ。僕は…」



王家の血筋を……

何でこんな時に父の言葉が大切な言葉をかき消すんだ。
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