君に遺された恋
「僕は何?」

ミラは僕の気も知らないで、ぐいぐい聞いてくる。


そんな目で僕を覗き込まないでほしい。

透き通った綺麗な瞳…


僕はその瞳に見とれながら言葉を探した。
君に気持ちを伝えたら、どんな顔をするだろう…

そんなことを考えているとボソッと彼女がつぶやく。


「……なし…」

聞き取れなかった。

「え?」

「レグルスのバーーカッ!」

そう言うとミラはいつもの無邪気な笑顔にパッと戻って、近くにあったソファーにどんっと座った。

そして彼女は小さな肩掛けカバンの中をゴソゴソあさりながら…

「意気地なしのレグルスにはクッキーあげなーい!」

そう言うと、クッキーの入った包みを豪快に開け食べ始めた!


それは僕の大好きなミラの手作りクッキーだ。
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