君に遺された恋
ズキン…

また頭がうずく。血がほしい。
血が…ほしい…。

鎖骨あたりなら小さく傷をつけることができるかしら…
私は私じゃないみたいに彼の血を求め、シャツのボタンに手をかける。

「ミラっそれは駄目だ。」

レグルスが焦った表情で私の手を止めた。


ありがとうレグルス。
今止めてくれていなかったら私は…まるで吸血鬼ね。
魔女の力に飲まれたただのバケモノよ…


だけど…血が…足りない。
あなたの心をもっと私で埋め尽くしたい。


ズキン…


「また…今度、ね。」

と、優しく微笑むレグルス。
凄く愛しい。だのに視界はかすむばかり。


ズキン…


「分かったわ。また今度あなたに触れさせて?」

そう言うのが精一杯だった。


まずい、吐き気がする。
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