君に遺された恋
王様は私の顔を見てにっこりと微笑む。

「ありがとう。と、いっても毎日仕事があるわけじゃ無い。
空いている時間はこいつの面倒を見て欲しいんだ。」

そう言って王様はエルナー王子の肩をポンポンと叩く。

「わかりました。」


この際何でもやってやる!


「ところで君は何歳だい?」

「15…歳です…」

「はっはっはっ!応募資格を満たしてないじゃないか!
大した度胸だ。更に気に入った!じゃあよろしく頼むよシャーラ」


そう言って王様が部屋を出て行く。


エルナー王子がふーっとため息をついて私に手を差し伸べてきた。

「いつまでそこに座ってるの?」

「あ、ありがとうございます。」

「ねぇ、2人で居るときだけでいいから敬語やめてくれないかな…」

「え?」

「今まで友達が居たことが無いんだ。君を初めての友達にしたい。」


エルナー王子のまっすぐな眼差し。


「いいわ。敬語はやめるわね。よろしく、エルナー王子」

「よろしく。シャーラ。」


初めて不器用に笑った彼を、心から可愛いと思った。


恋に落ちる瞬間なんてまばたき程一瞬で、
私はこの後に待ち受ける運命なんて知らずに呑気に恋してしまう。


やめておけと、誰か言ってくれたら良かったのに。
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