君に遺された恋
私の魔女としての仕事の内容はきつい。
まずは城の雇ったプロの交渉人が、
内乱や戦争を起こす主謀者と話をして攻撃をやめるよう諭す。
それを続けても攻撃を止めず、被害者が増え続けるようなら私の出番である。
血を一滴飲む。そして念じる。
憎しみだけの感情を暴力に乗せても解決は無いと。
何も自分を好きにならせるだけの魔法ではないのだ。
そして毎晩のように吐く。
今日もフラフラと、夜遅くに城に戻り疲れた体をひきずって王様の部屋へ報告に向かう。
コンコン
「シャーラです。報告に参りました。」
「やぁシャーラ。お仕事お疲れ様。」
そう言う王の向こう側にはエルナーと…
可愛らしいお人形のような女の子が座っていた。
「あぁ、紹介していなかったね、これは息子の許嫁のトリアだ。仲良くしてやってくれ。」
は…?いいなずけ…?
あからさまに気まずい顔をしたエルナー。
聞いてない…許嫁が居たなんて…
「急に決まっためでたい話でね、今日は幸せなんだ。
報告はまた明日にしてもらってもいいかな?」
「は…い…かしこまりました。」
私はまたフラフラと部屋を出て暗い廊下を歩いた。