君に遺された恋
しかしもう、そんなことはどうだっていい。


私が魔法をかけてあげるんだから。


「エルナー。ここに座って。」

私はそう言って大きなダブルベッドを指さした。


言われるがままに座るエルナー。


私は恐怖で震える彼の首にナイフを押し当て
「大丈夫。少しチクッとするだけだから。」
そう言って、ほんの少しだけ傷つける。


震えるエルナーでさえ愛しくてたまらなくて
私は無我夢中でエルナーの血を吸った。

久しぶりに触れる彼の体。


欲しかった。
あなたの血が。
あなたの愛が。

この瞬間から彼が私のものになると思うと、喜びで心が震えた。



あたたかいエルナーの血が私の体に染み込む。
私はあらん限りの力を使って念じた。


かつて私を愛した気持ちを今蘇らせろ。と。
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