君に遺された恋
すると、首から溢れる血をむさぼる私の体を、エルナーの腕が包み込む。


「もう…やめてくれ…お前を愛しているよ。シャーラ。」

エルナーがひとすじの涙を流して、
やめてくれ、やめてくれと懇願した。


やめてたまるもんか。
他の女のものになるくらいなら、いっそ私が壊してやりたい。


すると、私を包んでいたエルナーの腕が急にぶらんと力を失う。

はっとしてエルナーの顔を見ると、彼は座ったまま真っ青になって気を失っていた。


貧血だろうか。ショックだろうか。
それとも本当に私がこの手で壊してしまったのだろうか。


「エルナー?死んでしまうの?」


返事の無い彼を優しくベッドに寝かせ、ほほを手で包み込んで彼を責めた。

「あなたが悪いのよ、エルナー。私をひとりにしないで…」
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