強引同期と偽装結婚することになりました
結局、心配の理由ははぐらかされ、企画の話を迷惑にならない程度に話していると、二つ目の停留所で赤ちゃん連れのお母さんが乗ってきた。


「ここ、座ってください」


すかさず、優木くんが席を譲るとお母さんはありがとうございますと私の隣に座った。

お母さんに抱かれている小さな赤ちゃん。あぶあぶと声を出しているのがとても可愛い。


「すみません。うるさくて」


「いえいえ。可愛いですね。こんにちは。何ヶ月ですか？」


最初、赤ちゃんが声を出したとき、少し気を遣っていたお母さんだったけれど、私が話しかけるといろいろ答えてくれた。

赤ちゃんは女の子で、菜月（なつき）ちゃん。8ヶ月らしく離乳食もよく食べるらしい。

今日は菜月ちゃんを連れてショッピングモールに行くと話していた。

私とお母さんがそんな話をしていると、菜月ちゃんが急にグズりはじめた。

お母さんがあやすもグズりが酷くなり、とうとう泣き出す始末。

「すみません、すみません。どうしたの？菜月」


周りの人に頭を下げながら菜月ちゃんをあやすお母さん。バスの中は私たちのように気にしなくていいですよという人もいる。

でも、迷惑そうに睨みつける人もいて、お母さんは今にも泣き出してしまいそうだった。


「大丈夫ですよ」
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