強引同期と偽装結婚することになりました

気にしなくていいと声を掛けるも私にまですみませんと謝るお母さん。ついにはまだ目的地のショッピングモールからは離れているのに、途中下車をするという。

なんだかお母さんの態度が心配に思えて、優木くんと私たちも一緒に降りようとバスを降りることにした。


「なんで、なんで泣くの菜月」


バス停の椅子に座り込み。泣きじゃくる菜月ちゃんを責めるお母さん。


「お母さん、落ち着いてください」


お母さんの隣に座って背中を撫でる。でも、興奮しているお母さんは止まらない。

「なんで、いつもこうなの？せっかく気分転換出来ると思ったのに。なんで、バスの中で泣くのよ」


「お母さん、ちょっと抱っこ代わりますよ。葵はそこの自販機で何か飲み物買ってきてあげて」


とうとうお母さんまでが泣き出してしまい、菜月ちゃんの泣き声も酷くなる。

そんなお母さんから菜月ちゃんを受け取った優木くんは大翔くんを最近まで見ていただけあって抱っこもあやし方もとても上手だった。


「お腹空いたのかな？眠たいのかな？よしよし、大丈夫だからな」


私はその姿に少しだけ安心してすぐ近くにある自販機で飲み物を買ってお母さんに手渡した。


「お母さん、これ飲んで少し落ち着きましょう」


「・・・カフェオレ」


「あっ、しまった。つい、いつも自分が飲んでるからカフェオレにしちゃった。ダメですよね？すぐにお茶か何か買ってきますね」


「・・・ううん。これがいい。頂きます」