強引同期と偽装結婚することになりました
カフェインが入っているものは授乳中のお母さんにはダメなのに、つい、カフェオレを渡してしまった。

それなのに、お母さんは缶のプルタブを開けてカフェオレに口をつけた。


「あの、大丈夫ですか？カフェオレ飲んじゃって」


「・・・美味しい。こんな風にゆっくりカフェオレなんて飲んだのいつぶりだろう」


それをきっかけにお母さんはポツポツと自分の話を話してくれた。どうやら菜月ちゃんは優木くんの腕の中で眠ってしまったみたいでその姿にお母さんはまた軽く涙を浮かべていた。


「菜月を産んでからずっと二人っきりで。実家も遠く、主人も帰りは遅くて。もちろん、菜月は可愛いんですけど毎日、イライラしてるんです。母乳だから食べ物も飲み物もセーブして、好きなことも何もできない。泣き声を聞けばそのイライラが酷くなって。もう嫌」


美由紀ちゃんは言ってた。気分転換出来るのはうちの両親がいるからって。でも、菜月ちゃんのお母さんは誰もいない。一人で菜月ちゃんを育ててるんだ。


「あの、もし良かったら今日、一緒に出かけませんか？私、実は今、ママのためのツアーを企画していて、そのツアーの下見にスーパー銭湯に行こうと思ってるんです。そこ、託児所付きなので菜月ちゃんのお母さんが良ければ、意見聞かせて欲しいなって」


菜月ちゃんのお母さんは最初、戸惑っていたし、遠慮していたけれど最後は私で良ければと言ってくれて、一緒に下見に来てくれることになった。
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