強引同期と偽装結婚することになりました
「どういうことですか?いえ、すぐお伺いします。来なくていい?もしもし、もしもし」

今日は星の湯に初営業。朝からすごく緊張していたけれど優木くんや社長、美夏ちゃんに励ましてもらって今から行くことを連絡すると、もう来なくていいと言われた。

かなり、怒り口調で。どういうこと?
意味が分からない。


「どうした?篠宮」


「分からないんです。なんだかすごい剣幕でもう来なくていい、お宅のツアーに協力するつもりはないって言われたんです」


「それ、本当か?ちょっと、待って。俺がもう一度掛け直してみる」


動揺する私に代わって優木くんが星の湯に事情を聞いてくれた。横で話を聞いていると美夏ちゃんが隣に来て支えてくれた。


何がなんなのか、さっぱりわからない。どうして?私、何か怒らせるようなことしたの?全然分からない。

第一、星の湯さんと話をするのはアポを取ったあの日以来なのに。


「大変、申し訳ございません。今すぐ謝罪に伺います。本当に申し訳ございません」


優木くんが受話器を持ったまま、何度も何度も頭を下げながら、謝罪している。やっぱり私、先方を怒らせるようなこと何かしたんだ。


「優木、先方はなんて言ってるんだ?」


「二日前に、日程変更の連絡をこちらにしたそうです。今日は無理なので昨日にしてほしいと」


「昨日?」


「はい。それなのに、昨日は何の連絡もなく、約束をすっぽかした挙句、謝罪もなしに今日来る連絡をしてきたことに腹を立てられているみたいなのでとりあえず、俺が先方に行って謝罪してきます」


「私も、私も行かせてください」


日程変更。そんな連絡聞いてない。誰かが伝え忘れたっていうこと?誰?一体誰が。
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