強引同期と偽装結婚することになりました

「葵さん！見つけました！葵さ んの企画を叶えてくれそうな場所」


時間だけが刻々と過ぎて行く中、まったく他の目玉も見つけられないままだった5月下旬、柳くんが飛びつくようにチラシを一枚握りしめて部署に入ってきた。

「これ、見てくださいよ。ここ！」

柳くんはそう言うと、持ってきたチラシを私の机の上にバンっと置いた。求人広告？彼が置いたチラシは求人広告。

「えっ？これがどうしたの？」

「もう！ここですよ、ここ」

彼が指差す場所を見ると、保育士募集の文字。そしてその職場が秋にオープンする「豊嶋マリンシティ」そこに新たに託児所が併設されるため、保育士を募集していると書かれてある。

「ここ、日帰り温泉施設やレストランが入るらしいですよ。葵さん！」

「すごい、すごいよ、柳くん！こんなピッタリの場所があるなんて。ありがとう！祐にも知らせなきゃ」

「もう知ってるよ。俺もここは気にかけてた。行ってみるか？」

「うん！祐、力を貸してくれる？」

ここなら、銭湯にも入れてご飯も食べられる。海が見えるから観光気分も味わえるだろうし、ゆっくり過ごせるかもしれない。

「もちろん、全力でサポートしますよ」

最高のパートナーと共に私の企画は新しい一歩を踏み出そうとしていた。