強引同期と偽装結婚することになりました
「・・・結婚詐欺にあう人って多いんだね。そして、この被害者の人たちもみんな泣き寝入り。一生懸命、稼いだお金を騙されて奪われて。でもさ、私は優木くんに救われたから良かったな。普通なら人間不信になるもんね」

「葵・・・」


「ネットに書いてたんだ。結婚詐欺にあった人はそれが誰にも相談出来なくて、身内や友人と疎遠になるって。だから、私は・・・」


そう言いかけるとガタンと立ち上がった優木くんがギュッと私を後ろから抱きしめてくれた。


もう、言わなくていいからと。でも、私は情けない騙されたことを思い出して泣いたんじゃない。


本当に恵まれているんだって改めて実感した。優木くんがいてくれたから今の私がいる。強引に優木くんが引っ張ってくれたから、私は新たな一歩を踏み出せた。


「優木くん、本当にありがとう。心から感謝してる。優木くんがいてくれて、本当、ううん。めっちゃ良かったよ」



「よし、服装もお母さんに写メを送って見たててもらったし、後は呼び方か。た、祐くん。やっぱりなんだか変」


いよいよ、今日は優木くんのご両親へのご挨拶。約束はお昼からだったので、軽くお昼を済ませ、身支度を整えた。

結婚式を早くしたいからとはいえ、ここ数日、怒涛の毎日で忙しない。でも、今日無事に挨拶を済ませたら優木くんもわざわざ帰ることもない。


昨日の夜も優木くんは自宅に帰った。


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