強引同期と偽装結婚することになりました
どうやら彼なりのケジメなのか、結婚の日取りを決めるまでは、頑なに泊まらないとご飯を食べるだけでいつも帰ってしまう。

それがなんだかだんだんと淋しく思えてきて彼が帰った後はちょっと切なかったりした。



「・・・でも、優木くんは本当にいいの
かな?」


芽生えた気持ちと同時に湧き上がる不安。彼は片思いしている。好きな人がいるって言ってた。

その人との恋が成就しなくて、でもおばあさんのために結婚式はしたい。

その相手に私は選んでもらったけれど、籍までは入れないほうがいいんじゃないかって。


片思いだって言ってたけれど、私は優木くんの好きな人なんて知らない。でも、きっと優木くんの気持ちを知ったらその人だって・・・。


やだ、もしそんなことになったらきっともう立ち直れない。それくらい私には優木くんが必要だと感じてるから。



「お待たせ」



センチメンタルな気持ちに浸っていると家の前に着いたと優木くんからのメールが来た。

慌てて手土産を持って外に出ると運転席から下りて彼が待っていてくれたので急いで駆け寄った。


「なんか、今日はやけにめかしこんでるな。そんな無理しなくていいのに」

「優木くんだって、私の親に会うときすごく綺麗な格好してくれたから私も頑張ってみたんだけどやっぱり変?似合わないかな?」
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