アイドルに初恋
1章 同窓会
「大人になったら僕と結婚して下さい。」

幼稚園の頃、私にそう言った彼は

アイドルになっていました。

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 登場人物
*山田千夏 5月12日生 23歳
 翔と幼稚園からの幼なじみ
 実は幼稚園からずっと翔が好き*
*俵つかさ 2月22日生 22歳
 千夏と小学校からの幼なじみ
 嵐のファン*
*笹野健斗 8月28日生 23歳
 翔と千夏と幼稚園からの幼なじみ
 千夏と一緒に幼稚園の幹事*


12月1日金曜日

カランカラン 
誰かがお店に入ってきた。
開いたドアの隙間から冬の冷たい風が入ってくる。

私は今、小学校からの友人、俵つかさと駅前のカフェに来ている。


「ねぇ千夏、翔くんのメルアドとか知らないの??」
『はぁ?知ってる訳ないじゃん。卒園してから一回も会ってないんだよ?』
「はー、なんだー、つまんなーい…。あっ……、確か千夏、幼稚園の幹事だったよね?同窓会開けば翔くんくるんじゃない!?」
『いやいやー、忙しいしこないでしょ』
「来たらどうする!!!」
『こ、こないってー!』
「まぁまぁまぁまぁ、開いてみなよ!!あっ、と、ごめんバイトの時間だから行くね!ばいばい!」
『えっ、あっ、うん!ばいばい!
 私も帰ろーっと…』


つかさのコーヒー代も含めた食事代を払うと、私はマフラーを首に巻いて店を出た。

カランカラン

『う゛っ…寒…』

身震いをした私は、身を引き締めて自宅へと足を進めた。

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ガチャリ

部屋に入ると、暖かいストーブの風が体に染みてきた。

『あーー…あったかい…』

マフラーとコートをハンガーに着せながらふとつかさの一言を思い出した。

「同窓会開けば翔くんくるんじゃない!?」

 来ないと思うけどなぁ…

そう思いながらも私はパソコンへと向かった。

カタカタカタ

「成城幼稚園○○年度卒業生 
         同窓会のご案内
拝啓
初冬の候 皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、来年は私たち昭和(平成)○○年度卒業生が卒業してちょうど○○周年となります。そこで久しぶりに地元東京世田谷で同窓会を開くことになりました。
つきましては皆が帰省しているお正月を利用して全国で活躍している仲間たちと旧交を温めようと思います。
時を忘れ、じっくりと語り合いましょう。
ぜひとも万障お繰り合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。
敬具 

        記
日時 平成□□年□□月□□日 ○時
場所 大宮ホテル
   東京都世田谷区○○○□−□−□
    tel. □□□−□□□□
会費 □,□□□円
   (当日受付にて申し受けます)

駐車場有200台収容
駐車場は予約不要です
幹事 山田千夏 tel.□□□−□□□−□□□□
   笹野健斗 tel.□□□−□□□−□□□□
恐れ入りますが、○月○日までに返信ハガキにて出欠をお知らせください。(なお、当日は同ホテルにて宿泊も可能です。ご希望の方は通信欄にその旨お書きください)」

『んー、こんな感じでいいかな?印刷してみよう』

大好きな漫画家のサイン会に応募するために買ったが使わなかった往復はがきをプリンターにセットする。

ウイーン  ザザザザザザ

『おおおお、いい感じじゃん。笹野くんに送ってみよう。』

大きい封筒にそのはがきと「同窓会開こうと思います。はがきはこんな感じで良いですかね?」と書いた小さいメモを入れ、閉じたパソコンの上に置いた。

『明日送ろーっと…ふぅ、疲れた…』

密かに心を踊らせながらベットにもたれかかった。
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