虹色の日
「これ、みんな持ってるから欲しい。」と言うと、「みんなが持ってるから何?」と、沢山の増せた友達が持っていた高機能のシャープペンシルには目も暮れず、母は野菜売場でキャベツを手にとって、これにしよ、と呟いていた。
確かに小学生だった僕には鉛筆で充分だったし、流行りなんてすぐに次に移った。
買わなくて良かったと思う反面、ちょっとだけ悔しかった。
高機能のシャープペンシルが欲しかったんじゃない。
格好いいとは思ったけど、欲しかった理由はそこじゃない。
共通の物を持ってるだけで、僕には特別な組織が出来ているように見えたからだ。
そして残った疎外感。
あの中に入りたい。
入らなかったらどうというわけじゃない。
なのに、流行っていたあの時は、ただただ無性にそのシャープペンシルが欲しかった。
そうして人の中に根付く、『同じがいい』。