久瀬くんは〇〇恐怖症
「ごめんね、今のは忘れ…「…小さい頃」

口を開いた久瀬君の方を見る。

「虐待受けてたんだよ、母親から」

「え…」

久瀬君の言葉に衝撃を受けて目を見開く。

ぎゃく…たい…?

「…今は親が離婚して父親の方ついてったからそういうのはない。
けど沢山酷いことされた」

そう言ってぐっと拳を握り締める久瀬君。

「…それがトラウマで女が怖い。
情けないし、今は自分の方が力強いこととかわかってるのに、それでも怖い」

そう言って目を伏せた久瀬君に、

私はどう声をかけていいのか、

どう反応したらいいのかがわからなくて、

ただ久瀬君を見つめる。
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