久瀬くんは〇〇恐怖症
「けどもう頂上か…まだ下にいるか?」

そう言っておそるおそる下を見て

再び気絶しそうになる久瀬君に、

はっと我に返って声をかける。

「だ、大丈夫だよ、
ほら、もうすぐ集合時間だろうし、
先生が呼びに来るんじゃないかな?」

「それに頼るしかないな…
今何時かわかるか?」

「ええと…」

そう言って腕時計に目をやると、

久瀬君が前から覗くようにしてきて

鼓動が一段と大きく跳ねる。

「え、えーっとっ…」

「1時26分か…
いけるな」

「そ、そうだね、よかった」

「けど俺らがダッシュする必要あるな…悪い」

「ううん、全然大丈夫だよ。
気にしないで」

そう言って微笑むと、

「…ありがとな」

そう言って綺麗に微笑む久瀬君…

……きゅううううん…
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