久瀬くんは〇〇恐怖症
ドックンドックンドックンドックン…

心臓が今までにないくらい高鳴って、

絶対久瀬君にも聞こえちゃってる…

でも後ろから悲鳴が上がって、

それと同時に久瀬君からも解放された。

「…なにお前、下梶兄と仲良いからって妹に手ェ出すの」

ぐっと眉を寄せた久瀬君が言い返そうとしたとき

和樹が慌てたみたいに駆け寄ってくる。

「久瀬、これから試合だし行こうぜ」

「…ああ」

「杉浦、お前は嫉妬しねーの。
女子の反感買うぜ」

和樹はそれだけ言うと久瀬君と共に去っていき、

残された私は飛んできた夕実によって

隅の方に連れて行かれた。

「大丈夫?
なにかされなかった?」

「う、うん、大丈夫…」

「なんか顔赤くない?」

「そ、そう?」

そう曖昧な返事を返しつつ、

バスケの試合に入っていった久瀬君を目で追う。
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