久瀬くんは〇〇恐怖症
はあ…とため息をついて

なるべく人が通らなさそうな道を選ぶ。

階段に差し掛かると、踊り場で人にぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさ…」

そう言って顔を上げて頰を引きつらせる。

「あれ〜、下梶妹〜」

「なに、なんか用?」

まさかのキラキラ女子〜…

正直こんなエネルギーないときに会いたくなかった…

「なんか元気なくない?」

「あんたも久瀬のせい?
まーうちら彼氏いるから関係無いけど」

そんな風に言ってるのを

作り笑いで聞き流そうとしたとき…

「そういや下梶妹さ、うちらが話しかけたあのときから知ってたの?
だから話しかけたり庇ったりしてたとか?」

「え、なにそれ。人格疑うわ〜」

え、待った待った、

私すごい悪い人になってない?

そりゃ知ってたけどそれは…

「それは違っ…「…おい」
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