少しだけ嘘つきな世界。
「私、ほんとは…どうしたらいいかわかんなくて…お父さんのことがだんだん嫌いになって…そんな自分が嫌で…」
言葉は途切れ途切れに紡がれた。
母さんはうんうん、とゆっくり頷いていた。
俺は二人を見つめることしかできなかった。
…おばさんと同じように光希も我慢の限界、だったのだろう。
糸がプツンと切れたように泣き始めた。
同じ年の女の子が、ずっと一緒でよく知っていたはずの光希が、こんなにも大声を上げて泣くのを初めて知った。
小豆は幸せそうな寝顔をしていた。