少しだけ嘘つきな世界。
「お兄ちゃん?」
声のする方を向くと目を擦りながら光希の妹-小豆(アズキ)が立っていた。
「小豆起きてたの?」
「おねぇちゃんが、だれかと話してるから目がさめたの」
ふわぁ、とあくびすると、小豆は嬉しそうに寄ってきて俺の膝の上に座った。
「今日もお兄ちゃんずっと小豆たちのところにいてくれるの?」
「ちょっと、小豆…」
「うん、そうだよ」
そう言って笑うと小豆は笑った。
光希の母は所謂シングルマザー、だ。
数年前に離婚してから光希たちを女手ひとつで育てている。
元々俺の母さんとおばさんは仲が良かったのも合って、たまにお節介で料理を作っているのだ。仕事で忙しいおばさんのために。