少しだけ嘘つきな世界。
「そう言えばまだ名前聞いてなかったけど、妹さん、なんていうの?」
「あじゅき!」
スプーンとフォークを握りしめながらバンザイをして、そう言った。
「小豆っていうの、変わった名前でしょう」
食べる小豆と同じ漢字なんだ、と光希は説明してくれた。
ふぅん、と頷くと俺はもっと気になってたことを口に出した。
「なんでこんな夜にあんなとこにいたんだ?」
光希は俯いてしまった。
「ごめん、言いたくないならいいんだけど」
「…ううん。裕介には言っておく。迷惑もかけちゃったわけだし」