現実世界で捕まえて
「まーそーゆー事で、これから半年間僕が貴女の担当になります。よろしくお願いします」
こいつが目の前にいると感傷的になれない。
死神に優しさを求める方が無理か。
「まずは……」
「まずはどうするの?やりたい事リストでも作ります?」
その中から色々選ぶんだよね。
5つの願いをいかに有効に使えるように。
死神の言葉を待っていると
「部屋を片付けて下さい」ってピシャリと言われた。
「へっ?」
「洗濯物が山積みです。雑誌も床に落ちてるしシンクも汚れてる」
小姑か。
「僕が寝る場所もない」
「僕が寝る場所ってどーゆー事?」
そう突っ込むと
男はスカイツリー並みにスーッと立ち上がり腕を組んで私を見下ろす。
「任務完了までずっと傍に居るのが僕達の仕事です」
「いやそんな困ります。こんな狭い部屋で同居なんて」
しかも死神とだよ。
冗談じゃない。
「僕だって嫌だけど仕方ないでしょう。嫌なら早く5つの願いを考えなさい!」
逆ギレされてしまった。
「まったくもう……僕はシンクを綺麗にして夕食を作りますから、貴女はB75のブラを片付けて掃除機かけてお風呂の用意をして下さい」
男は怒りながら軽く手を叩くと、私と男の服装は楽な部屋着に代わりエプロンを着けていた。
あ、この部屋着可愛い。ユニ〇ロの新作だ。しかし死神とおそろい。
「とっとと動きますよ」
男は冷蔵庫を開いて「食材が無い。ありえない」ってまた声を上げていた。
前途多難ってヤツ?
こんな死神と同居?マジかんべんして下さい。